紅葉に誘われ山へ、油斷は禁物 人気の寶満山ルートで女性遭難死

 心地よく登山を楽しめる季節になった。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに市街地の「密」を避けて登り始めた人も少なくない。ただ、低山が多い九州でもリスクはある。先日は福岡県內の屈指の人気ルートで遭難事故が発生。「下山するまでが登山」を心掛け、危険をきちんと認識して楽しみたい。

 事故は6日、登山者の多さで「九州一」とされる寶満山(太宰府、筑紫野両市)に通じる縦走路の近くで起きた。

 70代女性が午前8時半、「ショウケ峠にいる。今から下りる」と知人に伝えたまま、連絡を絶った。警察や消防、地元自治體が7~12日に捜索しても見つからず、14日に縦走路から西側に離れた宇美町の山中で亡くなっているのを登山者が偶然見つけた。死因は低體溫癥だった。

 縦走路は標高800~900メートル級の山々が連なる。両サイドには麓に至る幾つかの明瞭な登山道のほか、地元の愛好者らが付けた踏み跡もある。

 女性が発見されたのは、縦走路のピークの一つ砥石(といし)山から踏み跡をたどった「鬼巖」と呼ばれる標高約670メートルの眺望の良い場所付近。腰や足の骨が折れており、巖から転落したとみられる。

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 関係者が把握していた女性の行動に関する情報は「ショウケ峠」のみ。須恵町と飯塚市をつなぐ県道と縦走路が交差する地點だ。そこからの足取りがつかめず、6日間にわたった広範囲の捜索でも見つからなかった。宇美町危機管理課は「あまりに(対象エリアが)広すぎた」と振り返る。

 日本アルプスなど規模の大きな山を登る際にはコースを記した計畫書などを添えて屆け出るのが一般的。だが、身近な里山に入るたびにそうした手続きをするのは現実的ではない。

 大切なのは、(1)どんな交通手段でどこの登山口に行き(2)どこを登ってどう下りるのか(3)好きな登山スタイルは同じ道を登って下るピストンか、それとも周遊か-などを家族や知人に伝えておくことだという。

 女性の捜索に當たった粕屋署の中野進副署長は「行動のパターンや考え方を把握できれば捜索範囲を絞ることができる」と話す。

 自然の中に身を置くと、美しい景色を眺めることができ、達成感を味わえる。ただ、どこにでもリスクはあること、いったん事故が起きれば捜索する側の負擔は小さくないことも登山者は自覚しておきたい。

 (重川英介)

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